「思い出」ではなくて。

Vol.3
- 携帯電話を持たなくても -


わたしがいつも読んでいる雑誌に
山崎まさよしが特集されてました。
わたしは、最近、彼の歌が好きです。

前は、あの独特の歌い方がどーしても受け入れられなかったんだけど。
今は平気。
歌詞が好きかな。
そうそう、そんな気持ちになるよぅ…って感じかなぁ。

まぁ、その記事はいろんな話を
山崎まさよしがしているんだけど、
そのなかで、一番わたしの心に残ったのが、
「携帯電話を持っていない」ということでした。

わたしは、もうすぐピッチを解約して、
携帯を買う予定。
そして、今、まさに、携帯をどの機種にしようか、
悩んでいるとこなんだけど、
「携帯電話を持っていない」ということが
とてつもなく、かっこよく感じてしまったのです。

電車に乗ると、携帯をいじっている人が
車両に3人はいる、そんな時代に「携帯電話を持っていない」
そして、「僕には必要ない」と言いきれるのが、
おぉ、かっこいい♪と感じちゃった。
直感的に。理由がなに、とかじゃなくて。

わたしがなんで携帯を買おうとしているのか、
それは、友達とつながりがなくなっちゃうのが、こわいからかもしれない。
誰かと誰かがが飲んでて、
「モモカも呼ぼうよ」といって、電話をかけてくる。
そんなこともなくなるのかな。
自宅に住んでるから、夜中は、自宅って電話しにくいし、
携帯持ってないと、電話かかってこなくなっちゃうかも。

そんなことを恐れて、携帯を買いたがっているのかもしれないです。

本当はそんなくらいで切れてしまうような人は、
お互いにそれだけの関係だった、と思うんだけど、
携帯を持たない勇気はまだなくて。

待ち合わせのときとか、携帯あると便利だけど、
前は、携帯がなくてもなんとかなってたんだし、
きっと、今でもなんとかなるんだろうな。
携帯がなかったころのほうが
時間に遅れないで行こう、という意識が高かった気がするし。

よくよく考えて見ると、
長くつきあってる友達とかって、
携帯がある、ないって関係なかったりする。
たまに来る電話とか手紙、
そして、なにより、その人とわたしは友達、
と自然に信じられる気持ちでつながってる気がする。

わたしの好きな人は、携帯がないと連絡がとれません。

わたしが電話をしないと連絡はとれないし、
たとえかけてきてくれても、
わたしの家の電話には絶対にかけてこないからです。

もし、つぎに彼の携帯に電話をかけたとき、
番号が変わってしまってたら
わたしはパニックになっちゃうかもしれません。

それは、まだ、それだけの関係である証拠。

わたしが就職活動でまいってたとき、
彼と話がしたくて、何度もかけて、やっとつながった携帯は、
その日の雨のせいで、電波が何度も切れました。
何度もお互いにかけ直して、
1時間くらいはがんばって話したけど、
結局、雨に負けて、「また電話してよ」と言われて、切ってしまいました。

就職が決まったら電話しようと決めてたので、
4ヶ月ぶりくらいに
わたしが家の電話から、彼の家に電話をしたら、
「携帯で話す声と、感じが違うね」って言われました。
そして、「だから、初め誰かわかんなかったよ」と。


雨なんかに負けない、
「誰かわからなかった」という言葉に傷つかない、
そんな間柄になれればいいのに。

携帯なんかなくても平気って思えるくらいになれる日が来ますように。

電車の中で、ふと電話(ピッチ)をいじってる自分に気づくと、
彼を思い出して、そんなふうに、願っているのです。

1999-10-26-TUE




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