「思い出」ではなくて。
大学4年生の女の子”モモカ”。
彼女は就職も決まり、彼女に残された学生生活
はあと僅か。

彼女は思った。
「はたらく」前の今この時間でしか考えられな
いことがあるんじゃないかと。
一日一日すぎてゆく日常。そのなかの「今」の自
分の思いを綴ってくれます。

Vol.12
- 学生最後の日に思うこと -



今日は学生最後の日です。
3月から会社に行ってたから、あんまり実感沸かないのかなって
思っていたけれど、そうじゃなかった。

卒業発表が3月8日にあって、
最後だから、学校まで見に行ったら、
友達に会って、
その友達は、前はすっごく仲良しだったのに、
いろいろあって、ちょっとずつ離れていった、そんな友達でした。

そのことをわたしはずっと、さみしいなぁって思ってたんだけど、
その日は、卒業発表っていうものが手伝ってくれたのか、
ひさしぶりに、3時間くらい話ができて、
やっと、戻れたなーってうれしかった。

話してると、4年間は短かったと感じるけど、
やっぱりいろんなことがあって、
それなりに時間はたっているんだなぁって
そういうことを、すごく感じたな。

その卒業発表で、
クラスの男の子の1人が、卒業できないことを知りました。
多分、単位は足りてるはずだから、
故意に卒業しないんだろうと思うけれど、
それも、なんかさみしいって思った。

最後のテストのとき、
単位の危ない友達に、いっぱいノートとか貸してあげた。
今までも、貸してたりしたけど、
決して、いい気分じゃなかった。
でも、最後のテストの時は
すすんで、ノートとか貸してた気がする。

みんな、いっしょに卒業したかったから。

テストのとき、いっつも協力し合ってたのが
その男の子だった。
1年の時から毎回毎回、
テストのたびにFAXでプリント送ってもらったり、送ったり。
電話で、寝るなーって起こしてもらったり。

4年になって、学校でも会わなくなって、
結局、1回も見かけなかった。
メールで時々、近況を知ったりするくらいで。

だから、卒業しないこととかも知らなかった。

卒業式まで少し時間があって、
そんなことも忘れてたんだけど、
卒業証書をもらうために、クラスごとに集まったときに、
彼がいないことに気づいて、
やっぱり、卒業しないんだって思ったら、やっぱりさみしかった。

やっぱり、いっしょに卒業したかったよ。

そのあと、サークルの人たちと
最後のどんちゃん騒ぎをして、
しばらくまた、卒業するさみしさを忘れてたのに、
次の日、卒アルがとどいて、
卒業しないのに、なぜか彼は写っていて、
それを見たとき、“もう会うこともないのかな”って思った。

4年間、いろんな人と知り合って、
友達になったり、好きになったり、つきあったり、
いろんなことがあったけど、
大学時代で、一番好きだったのは、
実はその彼だったかもしれないって、そのとき気づいた。

その人との思い出(そんなにないけど)だけじゃなく、
学食で毎日、ラーメンばっか食べてたこととか
図書館で寝てばっかいたこととか、
オールであそんで、公園の砂場で寝たこと、
サークルがすごくいやで、やめたくてしょうがなかったけど、
みんなで卒業旅行へ行って、
やっぱり、やめなくてよかったって思って、うれしかったこと、

フシギなもので、
毎日していたこと、いやだったこと、
もちろん、いいこと、うれしかったことも全部、
終わってしまえば、みんないい思い出になってしまうんだなぁー。

もう、2度と戻れないからこその、美しさ、かな。

思い出を忘れていってしまうことを
わたしは、すごく切なく感じてしまうけど、
この前、あの326が
「思い出を忘れてしまっても、ほかの誰かが温めてるから大丈夫」
って、言ってて、
あー、そうだなぁ…ってちょっとさみしくなくなった。

その、“ほかの誰か”が
大学生活での最大の収穫だなって
わたしも、誰かさんの“ほかの誰か”になれていれば、
いいなーーって思います。

明日から、がんばるぞ〜〜〜〜。




2000-04-02-SUN




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2000-02-22  vol.11 初海外にて
2000-01-25  vol.10 センター試験
1999-01-02  vol.9 度を失うほどの恋
1999-12-14  vol.8 日常が日常でなくなるとき
1999-12-06  vol.7 動物占いで自己分析
1999-11-28  vol.6 お受験
1999-11-04  vol.5 巨人ファン
1999-11-03  vol.4 年賀状出しますか?
1999-10-26  vol.3 携帯電話を持たなくても
1999-10-16  vol.2 お金について思うこと
1999-10-01  vol.1 第一回