- vol.9 -
-某有名ホテルアルバイト体験記(その2)-
「しっ失礼しますっ。」
下行きの社員用エレベーターに飛び乗って、
僕は逃げるようにその場を去った。
そして僕が勤務する5階の客室課の事務所に戻ると、
社員の人に
「おそいんだよ!何してんだばかやろう」
と言われた。
どうなるんだろうと心配で心配でしょうがなったが
ちょうどお客からの電話がたくさん
かかる時間だったのでそれですんだ。
そのあとも何事も無くその日のバイトを朝の9時におえた。
3日後にバイトに来た時もぜんぜんそのことは
だーれも知らないみたいだった。
もし、このことが上の人に知れたら
僕はバイトを続けることはまず無理である。
僕どころか上司の社員の人まで責任を負わされ
るかもしれない。大変なことだ。
仕事中に、バイトとは言えそのホテルの制服を着た人間が
泥酔して廊下で眠りこけている。
決してあってはならないことであった。
この事件はベルボーイのAさんの固い口のおかげで
闇から闇へとほうむり去られた。
おかげで僕は、その某有名ホテルで今もひっそりと
バイトを続けられている。
その日から、僕とベルボーイのAさんは仲良くなった。
僕 | 「あのときはどうもすみませんでした。」 |
Aさん | 「ホントだよお前〜。37階に行ってみたら人が倒れてるんだぜ。
そりゃびっくりするよ。マネージャーに報告しようかと思ったんだから。」 |
そんな会話をこの前会った時かわした。
そのベルボーイのAさんに「賞味期限」での連載をお願いしたら
快くひきうけてくれたんだ。
ありがとうAさん。
続く
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