だいこんぎり。


- vol.4 -

-おれも合格?-




今日はちょっと前の話で、今年の2月のお話。

2月と言えば入試シーズンである。
毎年、早稲田では合格発表の時に
いくつかのサークルが合格した受験生に
ばんざい三唱をしてあげるというのがある。
(時には胴上げもするらしいが僕は
テレビでしか見たことがない。)
ともあれ大輔君、

ばんざいをしてくれるというそんなおいしい話
をのがすはずもない。
時は社会科学部の合格発表の日。

格好・・・ジーンズにダッフルコート。
マフラー着用。リュックサック。
いかにも受験生風。

表情・・・かなり不安げ。
受験票・・ナシ。(かわりのものを持っているほうが危険)


準備は万端である。
いざ社会科学部まえの掲示板へ。
おーいるいる。
見たところ、体育会のアメフト部
「ビッグベアーズ」だ。
ばれたら命はない。

しばらく様子をみていたら
ごつい男どもが合格した
受験生を7〜8人でとりかこみ
「ばんざ〜い!ばんざ〜い!ばんざ〜い!」
とやっている。
ぼくはそそくさとそのあたりに
ごくごく自然に割りこみ、
掲示板の番号をさがすふりをした。
そしたらアメフトのお兄さんがひとり来た。
「かかった。」ぼくは心の中おもった。
「合格?」
「あ・はい。一応。」
その瞬間、
「お〜い。あつまれ〜い!!」
と一声かかり、
ごつい男の集団が僕の周りを取り囲み、
「ばんざ〜い!ばんざ〜い!ばんざ〜い!」
とやってくれた。
いやー快感、快感。

「きみ現役?」
「いやー二浪っすよ。二浪。まじめっちゃうれしいっすよ。」

と答えると、
その質問をしてくれた人が二浪で早稲田に入った人で、
「そっか〜。よかったなあ。」
と、まじで喜んでもらってしまった。
(おれってかなり罪なやつだな。)

ごくろうさんビッグベアーズ。
そしてごめんなさい!ビッグベアーズ。
また来年もよろしく。
(もう顔ばれてるかなあ。)

1998-11-08-MON



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