だいこんぎり。


- vol.1 -

-先生のうそつき!-




バイト先のホテルのベテランベルボーイのAさんが
仕事中にとつぜん一枚の紙をわたしてきた。
見たら簡単な分数の式がかいてあるのね。
「今から言うことを
小学生に説明できる?」
だって。


紙にはまず、
1/3+1/3+1/3=

1/3×3=

と、書いてあった。
新井さん「とりあえず、これやってみて。」

「なんですかこれ。ふつうにやればいいんですか?」

「うん。」

僕はとりあえず、
1/3+1/3+1/3=1

1/3×3=1

と書いた。新井さんは続けて、「じゃあ、これは?」と言って

1÷3=

と、書いた。
僕は

1÷3=0.3333・・・

と書いた。さらに新井さんは続けて、「じゃあ」と言って、

1÷3=0.3333・・・×3=

「これはどう?」と聞いた。

僕はちょっと考えて、

1÷3=0.3333・・・×3=0.9999

さらに考えて、

1÷3=0.3333・・・×3=0.9999≒1

と、書いた。

そこで新井さん、

「ちょっとまって。」

「おかしいぞ。だって、

1/3+1/3+1/3=1

1/3×3=1

なんだろう?
さいしょっから、
1/3+1/3+1/3

1/3×3

なら、いいけど・・・
だいたい割り切れない分数を説明するときには
1/3は0.333・・ですって説明するでしょ?
なのに、 1/3×3=1 で、

0.3333・・・×3 は1にはならない。
≒1とかいうわけのわからない記号をつかったり、
「かぎりなく1に近い数」とかいう表現を
小学生につかうわけにもいかない。
どうやって小学生に説明したらいいんだろうね?

ケーキを3つに分けたときにその3つを
くっつけてももとのおおきさにはもどらないってことだろう?
そんなの小学生がなっとくするかなあ」

ふくだ「うーん。すごくむずかしいいね。
だってこれを習うのって4年生くらいでしょ?
理解できないよ。」

Aさんは「ね、難しいでしょ。」
と言って仕事に戻っていった。

こういう算数とか数学の問題はこれはそういうものだ
とわりきっちゃえる子じゃないと
そういうことがある度につまずいちゃうのかも。
そういう問題って数学には多いし。
だれかこの問題を
「小学生が」完璧に理解できるような
説明のしかたがわかる人いますか?。



1998-11-08-MON



戻る