HOT NEWS | 1999/09/30 |
■すけの・あきひこ 1977年京都府生まれ。社会科学部4年。片野ゼミ、体育会軟式庭球部に所属。 実家は『菱六』という種麹を商う会社を経営している。 【E-mail】h9604293@mn.waseda.ac.jp |
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■”麹のプロ”になるために醸造学科への進学を目指す 助野彰彦さん ○「実家は京都で種麹を商っています。種麹屋は今は日本では十軒程度しかなく、 京都ではうちだけ。室町時代、北野天満宮にあった麹座から現代に伝わるそうです。」 そこに長男として生まれた助野彰彦さん(社学4年)。「父が亡くなっているので 会社は九十歳の祖母を中心に運営しています。長男ですから家業を継ぐことは自然に 頭の中にありましたが、ただ『いずれ帰らなあかんやろなー』と思っていた程度で、 口に出したことはありませんでした。でも、祖母も母も、進学や就職を決める時に 僕の判断に口出しはしなかった。だから、今まで本当に好きなことをやらせてもらいました。」 ○阪神大震災の経験から環境や町づくりについて勉強しようと、自己推薦で早稲田に入った 助野さん。今年の2月から、興味のあったエネルギー業界と酒造業界に絞って就職活動を 行った。「いずれ家を継ぐとしても、外の空気を吸っておくべきだと思ったんです。 活動を通して、業界や経営などいろいろ勉強させてもらい、最終的に 二社の酒造メーカーから内定をいただきました。」しかし、丁度そのころ、親戚から 東京農業大学短期大学部で醸造の勉強ができるということを知らされ、 就職と進学の狭間で心が揺れた。 ○「就職活動の面接でも麹の勉強がしたいと言ったんですが、営業でバリバリやって ほしい、と言われまして・・・。というのも、家を継ぐとしたらどうしても専門的な 知識が必要になります。麹の作り方や順序は本を見れば分かるんですが、なぜそう いう方法なのか理由は分からない。おそらくそういうプロセスを理解していれば、 今までとは違う発想が生まれるんじゃないかと思うんです。そうすればできた麹を売るだけでなく、 いろいろと新しい提案もできる。だから進学を考え始めました。」そひて家族と相談 し、受験を決定。内定を辞退し、十一月には入学試験を控えている。 内定先の社長さんもやはり”生まれながらの後継者”だったそうで、しっかり勉強して こいとの言葉をいただきました。でも、これからが大変です。勉強をしないと後々苦労するのは 自分ですからね。社員が社長よりも知識があるとなると組織もまとまらないし、取引先の方と 専門的な話題を対等に話す力がなければ生き残れませんから・・・。特に、若いですから尚更 厳しいですよね」 ○ゼミでは、経営行動科学、中でもリーダーシップについて研究をしているという。 「社学ではいろんな授業があるんですが、関心のある経営と環境の授業は全部取りましたよ。 この間、中小企業論の授業でベンチャービジネスについて学んだんですが、特定の分野 に特化してチャンスを掴む、他にマネできない企業・・・って、うちの会社にもあてはまるん ちゃうか、って思いました」。講義を通して、自分に必要な知識を着実に貯えている。 ○麹と真摯に向き合い、限られたチャンスを確実に自分の糧としてきた助野さん。「京都人は 計算高いですから」。爽やかな笑顔の中に、自己の可能性に賭けて人生を切り開こうという 強い意志が感じられた。 (早稲田ウィークリー9月30日号より)
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