凡人日記。


- vol.4 -

<東京六大学野球観戦日記・その3>




次の相手は明治大学である。
明治は今年の春季リーグの覇者
で、法政に劣らぬ強豪である。
法政相手に勝ち点を落としてしまっている以上、
今季リーグで優勝するためには、なんとしてもこの
明治戦には勝っておかねばならない。
第1戦はエース藤井が明治打線を完封し、
1対0で早稲田が辛勝。
「よーし、いける、いけるぞ!この調子で明日も勝って勝ち点を奪い
取るぞォ!」
そう思った。
だがこの後がマズかった。
第2戦・第3戦で、わが早稲田打線は小笠原・木塚(いずれも明治の
主力投手)をはじめとする明治投手陣に完全に抑えられ(0対3、0対4)
またも勝ち点を落としてしまったのである。

この敗北により、早稲田の今季リーグ優勝は絶望的となった。
「うーむ、優勝がなくなってしまったかあー。
だが強豪法政・明治相手に
ほぼ互角に戦ったんだから、次の東大戦は楽に勝てるハズだ。

東大を蹴散らして、波にのるぞ!」僕はそう考えた。
しかし、僕のこの予想は見事にハズレてしまった。

なんと早稲田は東大にも勝ち点を落としてしまった(第1戦・1対3、
第2戦・1対0、第3戦・1対3)
早稲田が東大相手に勝ち点を落としたのは15年ぶりの
ことである。
東京六大学野球に少しでも関心がある人ならみんな知っていることだ
が、東大は六大学中最も弱いチームである。
六大学の中で東大だけが優勝経験がない。
2位や3位になったこともない。
万年最下位か5位である。東大以外の五大学は
「東大には勝って当然」と思っている。
なのに今回早稲田はその東大に負けてしまったのである。
東大の勝利が決まった時、
東大応援席からは久しぶりの対早稲田戦勝利を喜ぶ拍手
と歓声が嵐のように起こった。一方早稲田応援席は大ショック、
応援部員も一般学生もみな「信じられない」
といった表情で、あ然呆然としていた(僕もそうだった)

東大戦の翌々日知り合いの野球部員に会ったが、
かれはまだ敗北のショックから立ち直ることができず、
落ち込んでいた。
選手名鑑を見ればわかるが、早大野球部の主力選手たち
は皆、野球が強いので有名な学校
(早稲田実業・宇和島東・前橋工・天理など)の
出身である。甲子園経験者も数多い。
「野球エリート」の集まりなのである。

一方東大野球部の選手たちは進学校の出身者で、
甲子園経験者などはほとんどいない。
その東大が早稲田に勝ってしまったのだ。
おそらく早大野球部員たちのプライドは
著しく傷つけられてしまったはずである。

しかし落ち込んでばかりもいられない。
次の試合がすぐそこにせまっている。もし、
次の立教戦さらにその先の早慶戦にまで負けてしまうようなこと
になったら、勝ち点ゼロで最下位になってしまう。

早稲田大学野球部はかつてない
危機に直面したのである。(次回に続く)


1998-11-28-MON



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