Vol.4
-老けゆく私-
「愛人」となって一番変わった事。それは我慢 強くなったことです。
彼は毎日、山のような仕事におわれています。 芸術などの仕事は集中して、とても神経を使う ので、本当疲れているのです。そんな中の、 少しの安らぎでも、楽しみでも、少しでも私の ことを思い出してくれて、そして会いたいと 想ってくれる、それを待つだけなのです。
実際には、もっと暇な時間があるのかもしれ ません。 でも彼には、美しい奥サマと、かわいい子供達 がいます。彼が何年もかけて築いた家庭を壊そう だなんていう気はないので、別に張り合おうと 思うわけでもなく、私のことを必要としてくれた ときに連絡をしてくれるのを待っているのです。
彼は愛妻家として有名で、奥さんの話を聞くたび に胸が痛みます。でも、憎むだなんて、そんな ことはありません。私は、彼の奥さんも、子供も すきです。彼の愛するひとを、嫌いにはなれ ません。ただ、うらやましいけれども。生まれ 変わるのならば、彼の奥さんになりたいです。
彼が幸せそうに家庭の話しをているときも、 私と会った後に、家庭に帰ってゆくときも、 我慢して、笑顔でいることはできるようになり ました。ただ、1人でいるときに溢れてくる涙だけ は我慢できないのです。涙ばっかり流して、 世の中にこんなに老けた16歳なんているのかしら。
続く
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